JT株「日本たばこ産業(2914)」は、連続増配も続いていたこともあり、高配当・高利回りのため個人投資家に非常に人気でした。
しかし2021年2月10日、決算説明にて減配が発表。
ただ、減配後でも年間利回りは6.6%を超えているため、今後も人気銘柄として続くかもしません。
私のJT株の売買判断は、「条件が整えば買っても良い」と考えています。
「JTは配当金が高いが、株価が下落しそうでかなり不安」と売買を迷う方に向けて、参考となるようにまとめました。
考慮したいポイントをピックアップしましたので、ぜひ最後まで読んで売買判断の参考にして頂けると幸いです。
JT株を売買判断する3つのポイント
私は配当金生活を目指しています。
株価が下落するリスクがあるとわかっていても、高配当・高利回りであるJTはやはり気になります。
私なりにJTについて調べるなかで、以下の3つのポイントが売買判断に重要と考えました。
- JTが目安とする配当性向75%(±5%)の範囲に配当金があるか
- たばこ銘柄として嫌われやすいJTに成長余地があるか
- 年間の売上や利益が増加しているか
以下より順番に説明します。
【ポイント1】JTが目安とする配当性向75%(±5%)の範囲に配当金があるか
判断材料の1つ目は、配当金が目安の配当性向75%(±5%)の範囲に収まっているかどうかです。
企業が目安とする配当性向を超えるということは、利益に対して配当金を出しすぎていると考えられ、将来の企業成長のための投資が不十分な状態であると言えます。
このような状態が続けば、将来利益は徐々に減少していくでしょう。
JTの配当金は、2021年度は一株あたり154円から130円に減配となりましたが、逆に配当性向は96.1%に上昇しています。
年度 | 中間 (円) | 期末 (円) | 年間 (円) | 連結配当性向 (%) |
---|---|---|---|---|
2021年度 | 65 (予想) | 65 (予想) | 130 (予想) | 96.1 (予想) |
2020年度 | 77 | 77 (予定) | 154 (予定) | 88.1 (予定) |
2019年度 | 77 | 77 | 154 | 78.6 |
2018年度 | 75 | 75 | 150 | 69.7 |
2017年度 | 70 | 70 | 140 | 63.9 |
2016年度 | 64 | 66 | 130 | 55.2 |
2015年度 | 54 | 64 | 118 | 53.2※ |
2014年度 | 50 | 50 | 100 | 50.1 |
2013年度 | 46 | 50 | 96 | 40.8 |
2012年度 | 30 | 38 | 68 | 37.6 |
※2015年度は、飲料自販機オペレーター事業子会社の当社株式等の譲渡及び当社飲料製品の製造販売事業の終了に伴い、飲料事業を非継続事業に分類。非継続事業を含めた連結配当性向は43.6%。
外部リンク 「JT 配当」
2021年度の配当性向96.1%は、目安を大きく超えているため危険と感じてしまいますが、今回に限っては必ずしも悪いとは言えないようです。
その理由は、決算発表説明会(2021年2月10日開催)の動画で説明されています。
「投資が利益成長に貢献するまでには一定のタイムラグが有ると考えており、この期間においても投資余力を確保する必要があると考えております。
これらの状況を踏まえ、2021年の一株当たり年間配当金予想については130円へとリベースすることと致しました。なおこの一株当たり年間配当金予想についても株主還元方針においてご説明をした配当性向75%の目安を大きく超える水準となります。
これはさきほどご説明をした遅延配分方針を前提としながらも一株当たり配当金が大幅な減少となることを回避するべく、配当性向が100%を超えない水準で最大限株主の皆様に還元できる水準として設定したものでございます。」
引用元:「JT公式サイト 決算説明会資料 投資家説明会動画(2021/2/11~)」
いかがでしょうか。
内容をもう少し噛み砕いてみます。
- 2021年度は工場集約や人件費削減の費用がかかるため一時的に利益は減少するが、将来的には効率性UP、コストダウンにつながるため利益が増加する。
- 2021年度だけを見ると、配当性向96.1%と高いが、将来的の利益増加を見越すと配当性向75%(±5%)に収まる。
- 減配したが最大限の株主還元は行いたいので、配当金は100%を超えない範囲で130円とした。
売買を考えたときに、配当性向が目安の75%(±5%)より多少高くても将来利益は増加すると思えるなら、配当性向が高くても気にしすぎる必要はないかもしれませんね。
【ポイント2】たばこ銘柄として嫌われやすいJTに成長余地があるか
成長余地がない分野の株式は、将来株価が上がりにくいため保有は避けたいところです。
そのため判断材料の2つ目を、成長余地があるかどうかとしました。
たばこ銘柄であるJTの好材料と悪材料を整理します。
- 海外たばこは売上順調
- 加熱式たばこ(電子たばこ)という新たなジャンル
- たばこは依存性があるため、継続購入されやすい
- JTは医薬事業、加工食品事業があり、売上増加を目指せる
- 日本の喫煙率は年々低下
- 日本のたばこ増税が続き、たばこ一箱の値段は徐々に増額
- 最近流行りのESG投資(環境・社会・企業統治に優れた企業への投資)に逆行
- 特に先進国では健康意識が強まる
たばこは健康を害する商品であるため、一般的に良い印象はありません。
成長余地があるかは悩ましいところです。
ただ、日本に限らず世界に視野を広げてみると、「新興国市場への販売」と「加熱式たばこ(電子たばこ)の登場」には、将来の不透明感はあるものの期待はできます。
【ポイント3】年間の売上や利益が増加しているか
配当金や配当利回りが高くても株価自体がそれ以上に下がれば、配当金がいくら高くても全く意味がありません。
むしろ損です。
そこで3つ目の判断材料は、売上や利益が増加しているかどうかとしました。
投資家が売上や利益増加に期待できれば、株価も上昇しやすくなります。
JTの売上や利益、チャート等を確認してみます。
業績 | 売上高 | 営業利益 | 税前利益 | 純利益 | 1株益 (円) |
---|---|---|---|---|---|
2017年12月 | 2,139,653 | 561,101 | 538,532 | 392,409 | 219.1 |
2018年12月 | 2,215,962 | 564,984 | 531,486 | 385,677 | 215.3 |
2019年12月 | 2,175,626 | 502,355 | 465,232 | 348,190 | 196.0 |
※単位は百万円
引用:四季報より

引用:SBI証券公式サイト
年間の利益は減少が続いているため、株価も同様に下落が続いています。
良くない状況ですね。
現状は様子見、利益成長に期待できれば購入はあり
以上、3つのポイントを紹介しましたが、最後に私の意見をまとめます。
1つ目「配当性向が目安より高い」状況については、短期間であれば問題は無いと思っています。
2021年度の配当性向は96.1%と非常に高いのですが、これは工場集約や人件費削減の費用負担増によって一時的に利益が低下した状態と考えられます。
数年後も目安を超える配当性向が続いているときには、注意が必要でしょう。
さらなる減配も覚悟しておく必要があります。
2つ目「たばこ分野であるJTの成長余地」については、「新興国市場への販売」と「加熱式たばこ(電子たばこ)の登場」を考えると、まだ残されていると考えます。
JTの加熱式たばこ(電子たばこ)「Ploom(プルーム)」は、米国フィリップモリス社の「IQOS(アイコス)」に負けているのが非常に残念ですが、より魅力的な商品となるように改良を加えているとのことです。
さらに、加工食品事業(テーブルマーク株式会社)はまだ成長余地はあると考えます。
3つ目「年間売上や利益の増加」については、大きなマイナスポイントです。
ただ、本気で経営改革を始めた様子で、工場集約や3,000人規模の人員削減を行うことから、将来的にはコストカットにつながり利益率は上昇するかもしれませんね。
以上3つを総合的に判断すると、記事作成時点では「JT株は保有せずに様子見」したいと思います。
利益が減少し続ければ、株価も下落し続けると思われるため、まずは利益回復の状況を見極めます。
「絶対にJT株は買わない!」と決めつけはせず、利益増加が予想できて株価上昇するチャンスがあれば、タイミングをみて中長期保有も有りと思います。
【まとめ】JT株(2914)は配当金投資におすすめできる?3つの検討ポイント
連続増配も続いたJT株はついに減配しましたが、それでも十分な高配当銘柄です。
「配当金が高いJT株を購入したいが、株価が下落しそうでかなり不安」という方に、売買判断の参考となるように3つのポイントを紹介しました。
- JTが目安とする配当性向75%(±5%)の範囲に配当金があるか
- たばこ銘柄として嫌われやすいJTにも成長余地が残っているか
- 年間の売上や利益が増加しているか
私は、「利益増加が予想され、株価上昇に期待できたときには、中長期保有目的なら買っても良い」と考えています。
やはり高配当銘柄には魅力を感じるため、できるなら保有したいです。
今後は銘柄チェックリストに入れて、経過をみていきます。
≫SBIネオモバイル証券
1株から取引したい方におすすめ。少額なら取引コストも安い。
日常で貯まったTポイントも使える。
≫SBI証券
本気で取引したい方におすすめ。格安の手数料。
取扱商品が多く投資情報も豊富。ネット証券業界大手。