株の確定申告はしなくても良い場合があります。
ご自身が取引する株式口座が「特定口座(源泉徴収あり)」であれば、証券会社が自動的に納税してくれるため、基本的には行う必要はありません。
株の納税は非常に楽です。
ただ、あえて確定申告することで節税ができます。
少しでも利益を増やすために確定申告をおすすめしますが(特に損失時の繰越控除などは効果が大きい)、慣れていないとなかなか難しいでしょう。
そこで、株の確定申告について、やり方・書き方をわかりやすく記載しました。
2021年の確定申告の受付期間は、2月16日(火曜日)~4月15日(木曜日)です(本来は3月15日(月曜日)まででしたが2021年は延長となりました。)。
「給料がある会社員が副業として株式運用で儲けた(または損した)場合」で、株取引する証券口座等は「特定口座(源泉徴収あり)」を例に確定申告書類の書き方を説明します。
当ページでは、インターネットで申告書を作成するときの画面をもとに説明しています。
なお、確定申告書の書き方の前に、株の税金の仕組みを知っておくと理解しやくなるでしょう。
株の確定申告書作成に用意するもの
当記事では、株取引する口座の種類を「特定口座(源泉徴収あり)」として説明します。
株の確定申告書を作成するにあたって、まずは以下の書類等を準備します。
- 「源泉徴収票」
※年末年始あたりに勤務している会社からもらえる - 「特定口座年間取引報告書」
※郵送で届く、又は証券会社のサイトにログインして自ら印刷する
※株取引した全ての口座分を用意する
※1月中旬頃に発行される - 「株取引にかかった経費を証明する書類(領収書など)」
なお、過去の損失額の繰越控除を行う場合には、「令和元年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)1面、2面」を用意します。
去年の株の確定申告で繰越控除の手続きをしていた場合のみ、この確定申告書付表を作成しています。
去年の確定申告書控えを確認してみて下さい。
繰越控除の意味ががよくわからない方は、こちらの記事をご参照下さい。
確定申告書作成までの下準備
確定申告書の入力ページを開くまでの手順を確認します。
- 「確定申告」で検索、国税庁確定申告書等作成コーナーページを開く
- 作成方法を選択
- 税務署への提出方法を選択
- パソコン推奨環境・利用規約等の確認
- 作成する申告書の年分と内容(所得税)を選択
- 作成開始をクリックして、必要な項目を入力
1.「確定申告」で検索、国税庁確定申告書等作成コーナーページを開く
インターネットを使って確定申告書を作成できる「確定申告書等作成コーナー」ページは、確定申告の時期にあわせて公開されます。
2021年は1月4日に公開されました。
Googleなどのインターネット検索エンジンで「確定申告」と入力すると、国税庁の確定申告ページが表示されますので、右上赤枠をクリックしてページを開きます。

上記以外のページからも確定申告書作成コーナーへのリンクが貼られていますので、検索結果上位のページ内を探してみましょう。
2.作成方法を選択
始めて作成される方は「作成開始」を選択します。
ご自身で持っている過去の確定申告データを利用する方や、入力途中のデータの続きから作成する方は、「保存データを利用して作成」を選択します。
「保存データを利用して作成」(右側青枠)は、既に住所氏名等が入力されており手間を省けるため便利です。
今回は、「作成開始」(左側赤枠)をクリックして新規作成を始めます。

3.税務署への提出方法を選択
「e-Taxで提出 マイナンバーカード方式」は、あらかじめマイナンバーカード(※マイナンバー通知書ではありません)とICカードリーダライタの準備が必要です。
「e-Taxで提出 ID・パスワード方式」は、あらかじめ直接税務署に行って手続きをし、のちに発行されたID・パスワードを利用する方法です。
マイナンバーカードが普及するまでの一時的な方法となっています。
上記2つの方法はすぐには利用できず事前の準備が必要なため、当ページでは「印刷して提出」(右側赤枠)を選択します。

4.パソコン推奨環境・利用規約等の確認
確定申告書をパソコンで作成する際の、パソコンの推奨環境を確認します。
内容に問題がなければ、同意して次のページへ進みます。

5.作成する申告書の年分と内容(所得税)を選択
「令和2年分の申告書等の作成」をクリックします。
すると、これから作成する申告書の内容が表示されます。
今回の確定申告は株式運用の損益(所得)申告が目的のため、「所得税」(左側赤枠)を選択します。

6.作成開始をクリックして、必要な項目を入力
作成開始のボタンをクリック。

次に生年月日と質問の画面が開くので入力します。
最初の質問は、「給与以外に申告する収入がありますか?」となっています。
当ページでは、「給料がある会社員が副業として株式運用で儲けた(または損した)場合」を例に説明していますので、「はい」を選択します。
クリックすると質問が追加されるので、ご本人の状況で選択します。

全ての質問に返答後、右下の次へ進むをクリック。
「収入金額・所得金額の入力」ページが開いて、事前準備は終了です。

以下より、メインとなる具体的な入力画面の書き方説明をします。
令和1年分までは申告書入力フォームを選べたのですが、令和2年分より選択不可となり統一されました。入り口をわかりやすくするためとのことです。注意点は、「所得の種類や所得控除、税額控除、その他の項目」が複数ページに分かれたことです。以前の入力フォームに慣れている方は戸惑ってしまいますが、右下の「入力終了(次へ)>」のボタンをクリックすると次の所得控除等の入力フォームに進めます。

給与所得の書き方
それでは「確定申告書B 第一表」「確定申告書B 第二表」の作成を始めます。
「総合課税の所得」にある、「給与所得」の「入力する」をクリックします。

クリックすると以下の画面が開きます。
会社から頂いた源泉徴収票がデータか書面か、会社で既に年末調整済みかでクリック先が異なります。
今回は、「書面で交付された年末調整済みの源泉徴収票の入力」(ページ中央赤枠)を例に作成します。

給与所得の入力画面が表示されるので、あらかじめ用意しておいた源泉徴収票を見ながら内容を転記します。
源泉徴収票の入力は、表示される画面のとおりに従って内容を転記するだけなのでとても簡単です。

全て入力が終わり、最初の「収入金額・所得金額の入力」ページに戻ると、以下のように金額が自動的に記入されていることを確認します。

以上で給与所得の入力は終了です。
株式等の譲渡所得等、上場株式等に係る配当所得等の書き方
次に、「株式等の譲渡所得等」(株式売買にて発生した損益額の入力)と、「上場株式等に係る配当所得等」(配当金の利益額の入力)について説明します。
「収入金額・所得金額の入力」ページの下部にある「分離課税の所得」にある「株式等の譲渡所得等」項目から、「入力する」ボタンをクリックします。

なお、すぐ下に「上場株式等に係る配当所得等」の項目もありますが、クリック先は同じページのためどちらでもかいません。

開いたページから、まずは「1 配当所得の課税方法の選択」からいずれか1つを選びます。
この例では、申告分離課税を選択します。

配当金の課税方法には3パターンあり、どの課税所得として申告するかを決めます。
- 「総合課税」
総合課税として申告、配当控除を使えるが損益通算はできない - 「申告分離課税」
申告分離課税として申告、税率が20.315%に固定され損益通算できるが、配当控除は使えない - 「配当等がない」
配当金を受け取っていない場合に選択
「総合課税」と「申告分離課税」のどちらを選んだらよいか分からない場合は、両パターンで確定申告書を作成してみて、納める税金が安い課税方法(又は還付金額が高い課税方法)を参考に考えてみるのも良いでしょう。
内容が難しいでしょうか?
内容がよくわからない方は、配当金の課税方法3パターンについて以下の記事でわかりやすく説明しましたので、ぜひ読んでみて下さい。
いずれか1つを選択したら、すぐ下にある「特定口座年間取引報告書の内容を入力する」ボタンをクリックします。

次に、特定口座年間取引報告書の入力方法を決めます。
「データから読み込む」、又は「書面を見ながら入力する」のいずれかを選択します。
当記事では「書面で交付された特定口座年間取引報告書の入力」を例に説明します。

クリックすると、すぐ下に追加入力する項目が開きます。
1.口座情報の入力
ここからは、特定口座年間取引報告書の内容を写していく作業になります。
当記事の記入例は、株取引する口座の種類を「特定口座(源泉徴収あり)」として説明します。
- 「源泉徴収の選択」
⇒特定口座年間取引報告からそのまま写す - 「勘定の種類」
⇒特定口座年間取引報告書からそのまま写す - 「この特定口座(源泉徴収あり)について申告するものを選択してください。」
⇒株式売買にて値上がり益、値下がり益があった場合には「譲渡損益」にチェック、配当金があった場合には「配当等」をチェック

2.「譲渡に係る年間取引損益及び源泉徴収税額等」の入力
特定口座年間取引報告書のとおりに数字を入力します。
0円の場合でも「0」を入力します。

3.「配当等の額及び源泉徴収税額等」の入力
同じく、特定口座年間取引報告書からそのまま数字を転記します。
下から2番目の「⑱納付税額」は、すぐ下の「⑲還付税額」と場所を間違えて入力しやすいため、しっかりと確認します(右下赤字線の注意書き)。

次に、「配当所得に係る負債の利子の額」を入力します。
銀行などから借金をして株式等を購入していれば、その利子を配当金から差し引いて所得を減らせます、という意味です。
借金ではなくご自身で貯めたお金をもとに投資している場合には、「0円」となります。

4.「金融商品取引業者等」の入力
ここまで入力してきた株取引を行った証券会社等を記載します。
特定口座年間取引報告書に記載されていますので、転記します。
- 「証券・銀行名等」
⇒会社名を入力 - 「本支店名等」
⇒本支店名を入力
※本店の取引では、文字入力はせず「本店」を選択する

5.「特定口座年間取引報告書に記載されたもの以外の費用」の入力
最後に、この株取引にかかった経費を入力します。
- 「必要経費又は譲渡に要した費用等の名称」
⇒費用名を記載
※文字数が不足する場合には「〇〇等」と書きます - 「金額」
⇒合計した経費を入力

経費が多いほど支払う税金は安くなるので節税になります。
ただし、領収証があるものなど、金額を証明できるものに限って必要経費とします。
嘘や証明できない経費は認められません。
税務署から確認のため連絡が入ることがあるので、領収書等は必ず保管しておきましょう。
不適切な申告の場合には、高い加算税(罰金)を支払うことになります。
- パソコン本体
- スマホ
- 売買手数料
- 電気代
- 書籍代
- 新聞代
- セミナー代、セミナー参加ための交通費
- 株取引に関する情報商材
- 銀行から株式口座への振込手数料
- パソコン部品購入代
- インターネット回線料
※上記は必ずしも経費と認められるわけではありません。個人のトレード環境によって異なるため、詳細は税務署へお問い合わせ下さい。
電気代など普段の生活費と重なる費用は、全てを株取引の経費にはできません。
株取引で使用した割合分だけ経費とします。
経費の考え方や計算方法は下記のページに記載しています。
記事はFXの内容で書いていますが、株取引でも経費の考え方は同じです。
ここまでで、入力作業は一段落。
複数の証券会社等で株取引をしている(特定口座年間取引報告書が複数ある)場合には、追加で入力します。

全ての入力が終わったら、最後に入力確認をします。
問題なければ、ページ一番下の「入力終了(次へ)>」ボタンを押します。

外国株式による利益があると、「入力終了(次へ)>」のボタンを押しても下記のエラーが表示されます。利益から計算した税金額が合わないとのお知らせですが、「OK」ボタンを押して次のページに進みます。

必要に応じて繰越控除を入力
前年に損失を繰り越した方は、繰越控除を入力します。
繰越控除とは、翌年以降最長3年間損失を繰り越せる仕組みを言います。
つまり、過去の損失額を確定申告していた場合には、当年度の利益から過去の損失額を差し引くことができるため節税が可能です。
繰越額の入力がある方は「はい」を、ない方は「いいえ」を選択します。

「はい」をクリックすると、「繰り越された譲渡損失を入力する」ボタンが現れるのでクリックします。
前年に株式の繰越控除手続きを行っていた場合には、「令和元年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)1面、2面」が前年の確定申告控えの中にあると思います。
この控えを元に金額を転記します。

以上で、基本的な株の確定申告書作成は終わりです。
あとは、最初の「収入金額・所得金額の入力」ページに戻り、右下の「入力終了(次へ)」をクリックして印刷まで進めます。
外国税額控除をしたい方は、印刷まで進めていく途中で入力項目がありますので、追加で入力します。
【まとめ】節税や繰越控除で得する!株の確定申告のやり方・書き方を説明
「給料がある会社員が副業として株式運用で儲けた(または損した)場合」で、株取引する証券口座等は「特定口座(源泉徴収あり)」を例に、確定申告書のやり方・書き方を説明しました。
大まかな手順は次の2つのみ。
- 「給与所得」の項目を源泉徴収票をもとに入力
- 「株式等の譲渡所得等」「上場株式等に係る配当所得等」の項目を年間損益報告書などの書類をもとに入力
一度仕組みを理解できれば、来年からは意外と簡単に確定申告書を作成できると思います。
当ページをお気に入りに登録して、来年も参考にしてみてください。
また、他の所得や控除があれば追加で入力し、確定申告書を印刷して郵送します。
最後に、追加の課税を支払えば(又は還付されれば)終了です。
来年の確定申告の書き方を迷わないように、控え用の確定申告書一式はファイルに閉じて保管しておきましょう。
お疲れさまでした。
税金についてわかりやすく説明されている、おすすめの本です。
※個人の所得等の状況によっては上記内容と異なる場合もあります。
※正確な内容については税務署等にお問い合わせをお願い致します。
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